Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
三
煙草の火がちら/\と薄やみのなかで光り、同じような顔がそここゝに浮んだ。重く沈んだどよめきが地をはうように聞えた。とき/″\、かん高いのゝしり声がそのなかから起る。やけつぱちな笑いがまじる。
と、だしぬけに耳もとで、
「ねえちやん、どうかしてくれヨウ」
とんきような声色といつしよに、男の腕が彼女の首にからみついた。彼女は、ギョッとしてからだをすくめ、力いつぱいその腕をふりはらおうとした。
「よせ、よせ」
と、だれかゞ言つた。
「おや、なんだい、その札は?」
一人がそばへ寄つて来た。やつとからだが自由になつた。
「浜島茂か、おい、おい、あれや違うか、本部附からペナンの収容所へ行つたのは? ほら、浜島なんとかいう上等兵がいたじやないか」
答えるものはいなかつたが、彼女は、その声の主をあらためて見直した。
「あの、浜島をご存じなんですか?」
呼吸がとまるかと思うほど、胸がおどつていた。
三
「いや、浜島つていうんで思ひ出したんだけれども、それが浜島茂かどうか、直接知つてるわけじやないから……」
と、返事があいまいになるのを、北原ミユキは、こゝで手がかりを失つてはと、必死になつて、