Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
「ああ、阿斗に代って、糜は死んだか」
「井には、枯れ草や墻を投げ入れて、ご死骸を隠して参りました。その母の御霊が公子を護って下されたのでしょう、それがしただ一騎、公子をふところに抱き参らせ、敵の重囲を駆け破って帰りましたが、これこのとおりに……」
と、甲の胸当を解いて示すと、阿斗は無心に寝入っていて、趙雲の手から父玄徳の両手へ渡されたのも知らずにいた。
玄徳は思わず頬ずりした。あわれよくもこの珠の如きものに矢瘡ひとつ受けずにと……われを忘れて見入りかけたが、何思ったか、
「ええ、誰なと拾え」
と云いながら、阿斗の体を、のように草むらへほうり投げた。
「あっ、何故に?」
と、趙雲も諸大将も、玄徳のこころをはかりかねて、泣きさけぶ公子を、大地からあわてて抱き取った。
「うるさい、あっちへ連れて行け」
玄徳は云った。
さらにまた云った。
「思うに、趙雲のごとき股肱の臣は、またとこの世で得られるものではない。それをこの一小児のために、危うく戦死させるところであった。一子はまた生むも得られるが、良き国将はまたと得がたい。……それにここは戦場である。凡児の泣き声はなおさら凡父の気を弱めていかん。