Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
「離せ」
ふいに、孫権は袂を払って、室の中へ身をひるがえしてしまった。後堂前閣の園をここかしこに、
「戦うべしだ」
「いや、戦うべからず」
と喧々囂々、議論のかたまりを持って流れ歩いてくる一組が、すぐ近くの樹陰にも見えたからであった。
何せよ、議論紛々だった。一部の武将と全部の文官は、開戦に反対であり、一部の少壮武人には、主戦論が支持されていた。それを数の上から見れば、ちょうど七対三ぐらいにわかれている。
私房にかくれた孫権は、病人のように手を額に当てていた。寝食も忘れて懊悩悶々と案じ煩っていた。東呉の国、興ってここに三代、初めての国難であり、また人間的には、彼という幸福に馴れた世継ぎが、生れて初めてここに与えられた大きな試煉でもあった。
「……どうしたのです?」
食事もとらないというので、呉夫人が心配して様子を見に来た。
孫権は、ありのまま、つぶさに話した。当面の大問題。そして藩内の紛乱が、不戦主戦、二つに割れていることも告げた。
「まだまだ、そなたは坊っちゃまですね、そんなことでご飯もたべなかったのですか、何でもないではありませんか」
「この解決案がありますか」