Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
――が、ひとり程は、
「いや何も、そう死を急ぐにはあたりません。どんな絶望の底にあろうと、最後の一瞬でも、一縷の望みをつないで、必死を賭してみるべきでしょう。――それがし、関羽が許都にありし頃、朝夕に、彼の心を見て、およそその人がらを知っている。彼は、仁侠の気に富み、傲る者には強く、弱き下の人々にはよく憐れむ。義のために身を捨て、ふかく恩を忘れず、その節義の士たることすでに天下に定評がある。――かつて玄徳の二夫人に侍して、久しく許都にとどまっていた当時、丞相には、敵人ながら深く関羽の為人を愛で給い、終始恩寵をおかけ遊ばされたことは、人もみな知り、関羽自身も忘れてはおりますまい」
「…………」
曹操は、ふと瞑目した。追憶はよみがえってくる。そうだ! ……と思い当ったように、その眸をくわっと見ひらいた時――すでに雪中の喊声は四囲に迫り、真先に躍って来る関羽の姿が大きくその眼に映った。
「おうっ……羽将軍か」
ふいに、曹操は、自身のほうからこう大きく呼びかけた。
そして、われから馬をすすめ、関羽の前へ寄るや否、
「やれ、久しや、懐かしや。将軍、別れて以来、つつがなきか」