Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
玄徳には一種の容態を飾る好みがあるらしい。よく珍しい物で帽を結い、珠をかざる癖があるので、それをとがめたらしいのである。
「これか。……これは犁牛の尾だよ。たいへん珍しい物だそうだ。襄陽のさる富豪から贈ってよこしたので、帽にして結わせてみた。おかしいかな」
「よくお似合いになります。――が、悲しいではありませんか」
「なぜ」
「婦女子の如く、容姿の好みを遊ばして、それがなんとなりますか。君には大志がないしるしです」
孔明がやや色をなしてそう詰問ると、玄徳はいきなり犁牛の帽をなげうって、
「なんで、本心でこんな真似をしよう。一時の憂さを忘れるために過ぎぬ」と、彼も顔容を正した。
孔明は、なおいった。
「君と劉表とを比べてみたらどうでしょう?」
「自分は劉表に及ばない」
「曹操と比べては」
「及ばぬことさらに遠い」
「すでに、わが君には、この二人にも及ばないのに、ここに抱えている兵力はわずか数千に過ぎますまい。もし曹操が、明日にでも攻めてきたら、何をもって防ぎますか」
「……それ故に、わしは常に憂いておる」
「憂いは単なる憂いにとどめていてはなにもなりません。実策を講じなければ」