Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
四日目、張松は別れを告げて、蜀へ立った。玄徳は名残りを惜しみ、十里亭まで、自身送ってきた。
ここに少憩してささやかな別宴をひらき、共に杯を挙げて、前途の無事を祈りながら、玄徳は眼に涙をふくんで、
「先生と交わりをむすぶこと、わずか三日、またいつの日か、お教えを仰ぐことができましょう。人生多事、蜀へ帰られてはお忙しいでしょうが、折にふれ、荊州に玄徳ありと思い出して下さい。鴻雁西へ行くときには、仰いで玄徳も、西蜀に先生あることを胸に呼びかえしているでしょう」
と、いった。
張松はこのとき胸に誓った。蜀に迎えて、蜀の新天地を創造する人は、正にこの人以外にはないと。
「いや、この度は、三日の間、朝暮ご恩に甘え、何らのお報いもなさず、今お別れに際して慚愧にたえません。ただ、皇叔のために、ここで一言申しのこすならば、荊州の地は決してあなたの永住に適する領土でありますまい。南に孫権があって、常に鯨呑の気を示し、北に曹操があって、虎踞の象を現しています」
「先生。玄徳もそれを知らぬのではありませんが、如何にせん、他に身を安んずる所がないのです」
「乞う。眼を転じて、西蜀の地を望み給え。