Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
旁、ご賢慮をめぐらし給え」
こうなると、張松も黙っていられない。国家の危機とは、これからのことではない、今やすでにその危機にある蜀である。もし漢中の張魯と魏の曹操が結んで今にも国内へ進撃してきたらどうするか。ただ強がるばかりが愛国ではないぞ、ほかに良策があるならここで聞かせよ、と詰問り寄った。
と、ふたたび帳外から、
「無用無用。わが君。張松の弁舌にうごかされ給うな」
云いつつ大歩して君前にまかり出てきた人物がある。従事官王累であった。
王累は、頓首して、
「たとえ漢中の張魯が、わが国に仇をなすとも、それは疥癬(皮膚病)の疾にすぎぬ。けれど玄徳を引き入れるのは、これ心腹の大患です。不治の病を求めるも同じことです。断じて、その儀は、お見合わせあるように」
――だが、劉璋の頭には、もう先に聞いた張松のことばが、頑として、先入主になっている。張松は実地に諸州の情勢を見てきた者だし、王累や黄権は、国外の実情にうとい。そう単純に区別してでもいるのか、おそろしく感情を損ねて叱りだした。
「うるさくいうな。人望もなく実力もないような玄徳なら、なにも求めて提携する必要もないではないか。