Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
玄徳はこの老母が婿ではないか」
孫権は沈黙して、ただ老母のまえに、叱りをうけているだけだったために、評議は、一決せずに終ってしまった。
――今、荊州を収めなければまたいつの日機会があろうと、孫権は爪をかみながら、一室に沈吟していた。
張昭が、そっと来て彼の前にささやいた。
「べつに計をおたてになればよいでしょう。母公のお叱りは、ただただ、遠国におわすあなたの妹君をいじらしき者、可愛いものと、情にひかれておいでになるだけのことですから」
「では、どうして母をなだめるか」
「一人の大将に五百騎ほどをさずけ、急遽、荊州へさし向けられ、玄徳の御内方たる妹君へ、そっと密書を送って、母公の病篤し、命旦夕にあり、すぐかえり給えとうながすのです」
「む、む」
「その折、玄徳の一子、阿斗をも連れて、呉へ下ってこられたなら、あとはもう此方のものです。それを人質に、荊州を返せと迫れば」
「その策は実に妙計だ。して誰をやろうか」
「周善なれば、仕損じますまい。彼は、力鼎をあげ、胆斗の如き大将で、しかも忠烈ならびなき大将です」
「すぐ、ここへ呼べ」
孫権ははや、筆墨をよせて、妹に送る密書をしたため出した。