Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
「無礼でしょう趙雲。なんですかその血相は」
「お留守をあずかる孔明にも何のお断りすらなく、城中を出られるのみか、呉船に召されて江を下るなど、あなたこそ劉皇叔のご夫人として穏やかならぬご行動ではありますまいか」
「呉にいます母公が、あすも知れぬご重態との知らせに、軍師へ相談している暇もなく、急いで便船に乗ったのです。わが母の危篤に駈けつけるのがなぜいけないか」
「しからば、何故、阿斗の君をおつれ遊ばすか。皇叔にとっても、わが国にとっても、たったお一方の大事な珠玉。かつて当陽の戦には、趙雲が、命にかけて、長坂にむらがる敵大軍の中より救いまいらせたこともある。――さ、お返しなさい、阿斗の君を」
「おだまりなさい」
夫人は、蘭花の眦をあげて、
「そちは唯これ陣中の一武士。劉家の家事に立入るなど僭越であろう」
「いやいや、あなたが呉へお還りあるのを止めはいたさぬ。ただ幼君の御身は、誰がなんといおうが、国外へやるわけには参りませぬ」
「国外とは何事ぞ。呉と荊州とは境こそあれ、この身と皇叔とによって契られている間ではないか」
「なんと仰せあろうと、幼君はおあずけできません。お渡しなさい」