Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
病室に玄徳を招いて、彼は、きれぎれな呼吸の下から説いていた。
「予の亡い後、この国を、御身が譲りうけたとて、誰が怪しもう。奪ったなどといおう。……いや、いわせぬように、予が遺言状をしたためておく」
玄徳は、強って辞した。
「せっかくの尊命ですが、あなたにはお子達がいらっしゃいます。なんで私がお国を継ぐ必要などありましょう」
「いや、その孤子の将来も、御身に託せば安心じゃ。どうかあの至らぬ子らを扶け、荊州の国は御身が受け継いでくれるように」
遺言にひとしい切実な頼みであったが、玄徳はどうしても受けなかった。
孔明は後にその由を聞いて、
「あなたの律義は、かえって、荊州の禍いを大にしましょう」と、痛嘆した。
その後、劉表の病は重るばかりな所へ、許都百万の軍勢はすでに都を発したと聞えてきたので、劉表は気魄もおののき飛ばして、遺言の書をしたためて後事を玄徳に頼んだ。――御身が承知してくれないならば、嫡子の劉を取立てて荊州の主に立ててくれよというのであった。
蔡夫人は、穏やかならぬ胸を抱いた。彼女の兄蔡瑁や腹心の張允も、大不満を含んで、早くも、
「いかにして、君を排し、劉の君を立てるか」