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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

あまつさえろくに刀の抜きようも知らないで、たとえ一瞬間でも、大月玄蕃に刃向えたと思えた。――自分は正しく生まれかわっている。我は解脱した春日新九郎であると、彼が強い自信を持ったのは、この時であった。

しかし――と新九郎の考えはまた、現在の身の上に来て、ちっとも判じがつかなくなった。

「一体今日まで七日もここへ抛り込んだままで、雨龍太郎は自分を殺す気なのだろうか。どうする心算なのだろう。もっとも雨龍に殺す意志がなくても、玄蕃はきっと前からの行きがかりで、自分を殺すように使嗾するだろう――しかし、判らないのはここにいる雨龍の妾らしい女の振舞いだ。自分はあんな女を舞鶴で助けた覚えもないし、恩をかけた覚えもない。何だってあんな出鱈目を云って自分の命を救ったのだろう……」

こうした空想の糸は限りもなく手繰り出された。新九郎はやがてその空想に疲れて顔を上げると座敷の隅の短檠が、冥途の灯のように仄白くなって行った。

「ああ暁方近くなったのだな……」

と彼は思った。どこかで水のせせらぎが、夏の夜も寒いほど清く聞きとれる。伽藍の中にいるような寂寞である。

すると、コトリと座敷牢の外で、錠の触れる音がした。