Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
とお延は新九郎の青額に、気も魂も吸い込まれて、ゾクゾクと疼くふるえを緋縮緬につつんでいつかぴったりと寄り添って来た。
「憎らしい、何にも解らないような顔をしてさ……ねえ、解ったでしょう」
「こりゃ、戯れを……」
「真剣ですよ。誰がこんな夜夜中、よっぽどでなくて来るもんかね。もうこんな山住居は、ぶるぶる嫌になったのも、みんなあなたの罪です――と云ったらびっくりするかも知れないけれど、蛇性の女に見込まれたのが因果、私を連れてここを逃げておくんなさいよ」
「ええッ」
と新九郎はゾクリとした。
「シッ……大きな声は禁物よ。何も今が今じゃないけれど、多分二、三日うちには雨龍が、傷の療治に町へ行って留守になる筈、いい時分を計って忍んで来ますから、あなたもそのつもりでいて下さいねえ」
新九郎は女の入れ智慧に、その時初めて、空しく死を待つ身でない――そして、今は地獄の境にある身を気づいた。もう手段は択んでいる場合ではなかった。
「おお、そりゃ真か? ――」
と思わず膝を詰め寄せた。
「疑り深いね……」
とお延は新九郎の心を、もうまったく掴んでしまったような恋馴れた誇りに、自分も現になって、