Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
かねて二人で話したこともある通り、江戸表へでも高飛びして暢気に暮らすとしようじゃないか、どうだお延」
「小六さん、私ゃあ少し考えが違うんだよ」
「そんな寝言を聞く小六じゃない。貴様は若い侍と乙な気味になったそうだが、この小六がなければ知らぬこと、無分別な浮気沙汰をいつまでもしていると、しまいには身の破滅だぞよ」
「いいよ! 構わないでおくれよ! どうせ茨がきお延と云われるほど、持ちくずした私の身だもの、好き放題なことをして、野たれ死にするのは本望なんだよ」
「馬鹿をぬかせ、まだお互いに先のある身だ。悪いことは云わぬから、拙者と江戸へ行こうじゃないか、どんな贅沢、綺羅な暮しも都へゆけば仕たい三昧というものだ」
「嫌だよ。行くなら一人で行っておくれよ」
「何だと、じゃあこれほど云っても?」
「お前が邪魔になったんだよ!」
とお延は妲己の本性を現わして、扱帯の下から引き抜いた匕首を逆手に、さっと小六に斬りつけてきた。
「洒落た真似をさらすなッ」
と突きかかった閃めきを、小六は軽く片身外しにかわしておいてぽんとお延の匕首を叩き落して、自分の手に持ちかえてしまった。
「ええ口惜しいねえ! 離しておくれってばッ」