Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほう……? 拙者に願いというのは何か」

「いつ何刻でも、此方から仕合を申し込んだ時には、場所がら問わずに、決して嫌と云わねえという約束がして貰いてえのです」

「変ったことを申す奴じゃ、しかし、その当人の姓名も明かさず理不尽な頼みではないか」

「こいつはご尤もです。ではお話申しますが、生命のある限り、お前さんから一本の勝ちを取らねえうちは、男一匹になれねえという者は、何をお隠し申しましょう、春日新九郎様と仰っしゃるお方です。さ、どうか誓っておくんなさい」

「待て、春日新九郎? ……重蔵殿の間違いではないか」

と自斎はかがやかしい眸を更にじっと向けた。

「いえ、新九郎様と仰っしゃるのは、その重蔵様のご舎弟でごぜえます。ここまで申し上げたら、どんな意気地か、武士道の止むないところが、おおかたお察しがついたでございましょう」

「む、では重蔵殿のご舎弟は、兄に似つかぬ臆病者とほのかに承っていたが、この自斎に向って雪辱の仕合を致したいとまでに、奮い起たれたのか」

「お眼力、間違えのないところです。わっしも及ばずながら、どこまでも新九郎様の後ろ楯となって、五年十年はおろか、おめえさんの命がある限り、此方の命がある限りは、きっと打ち込むだけの腕前におさせ申して、桔梗河原の敗けを取り返す心意ですから、どうか、今からご合点しておいておく