Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
伝吉は二人の心を察し抜いているが、いつまでもこうしてはいられない、互いの身である。
その朝、由良の伝吉は淋しく、もの改まった。
「では新九郎様、いろいろお話し合い致した通り、ひとまずわっしは、千浪様をお連れして、福知山へ帰ることに致します。どうか貴方様には、後々へお気をひかれることなく、一念、ご修行に出精をお頼み申します。伝吉めも、こればかりが願いでございます」
「おお、伝吉も千浪殿も、どうかその儀は安心いたしてくれ。今は昔の新九郎ではない」
「それから、この一封の路銀、ならびにこの一腰は、どちらも正木作左衛門様からの、お心こめたお餞別でございます」
「忝けない。不埒者の新九郎へ、かほどまでのお心づくし、徒やおろそかにお受けは致さぬ。きっと鐘巻自斎を打ち込んで見せねば、故郷の土は生きて踏まぬと、お言づて致してくれい」
伝吉が前へ置いた、来国俊の一刀を押しいただいて、早くも、情愛の紲を思い断って、果知れぬ旅出の支度にかかる。
うら悲しくもあり、嬉しくもあり、千浪の胸は、不思議な涙と興奮に揺れ返っていた。あれこれと側から心づける何かの用意も、我が手でしながら、吾にもあらぬ心地。