Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「これ千浪、暫時遠慮致せ」
と後ろを顧みて云った。
「はい……」
と千浪は素直に立ちかけたが、勝手をしらぬ家のこととて、そこから庭下駄をはいて屋敷の庭でも彼方此方と彷徨っているより外なかったのである。それを見送ってから、作左衛門は重蔵にむかって再び語を継ぎはじめた。
「娘の千浪を連れて参ったのも世間体を繕うため、誠は作左衛門、君公よりのお旨を受けての使者でござる」
「えッ、そうとは知らずかく見苦しい所へ」
と重蔵は意外に思いながらも、また恐縮した。
「いやそれも極く密々のご内意――と申すは、かような次第でござります」
と作左衛門は扇子をついて低声になった。
そして宮津の京極から剣道試合の申込みを受けた顛末、それに当る達人のいない当惑を物語った上、この動機はあるいは佞奸邪智の大月玄蕃が如意輪寺の不覚を報讐する底意で、宮津一藩を使嗾したのではあるまいかと個人的な考察もつけ加えた。――そこで重蔵に頼みというは当日の試合に福知山方の藩士の列に紛れこんでいてもらって、見事傲慢な宮津藩の猛者を撃ち込んでもらいたいことだった。それも強敵と目ざす者は大月玄蕃一人であるが、幸いに、玄蕃と重蔵は如意輪寺裏で真剣の手合せをした実験がある――あの腕を持った重蔵殿なら必ず玄蕃を撃ち破ることは至難でないと、作左衛門は君公忠房に推挙した言葉