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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

互に道を助け合いながら、来る者は、虚無僧の竹枝と月巣――すなわち千浪と春日重蔵のふたりであった。朽葉を踏むわらじの緒、脚絆までが、清水に濡れて、夏とは云え、氷室を辿るような山気が冷々と迫る。

と、程なく、行く手に見えはじめた一道の明り。くわッと照ったお花畑が二人の眼を射たかと思うと、一叢の夏草から、むッくり起ってきた深編笠の侍。二人の前にぴッたり足をとめたが、会釈もせず、辞もかけず、無言のまま、泰然と己れの姿を見せつけた。

「ご免なさいませ」

何気なく、天蓋のふちを持ちながら、袖ぎわを会釈して、摺りぬけようとすると、それに連れて一足退がった侍は、重蔵の胸板を、片手でどんと押し返した。

「あ――」

身をかわしたが、片足ままにならぬ重蔵、思わず、よろりとなるのを、支え止めた千浪は、さッと美しい蘭瞼をいからせて、

「何をなさるのじゃ!」

努めて、男らしく云い放ったが、憤りも凜とすんで、女性の肉声は争われない。深編笠の侍は憎らしいほど落着き払って、

「おう、珍らしくも懐かしい声を聞いた」

と云った。

「えッ」

「千浪ッ。またそれなるは春日重蔵であろう。こう申す者は、その方たちが現在尋ねている大月玄蕃だ。