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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

「もシ……」

と、そッと傍えの人の袖を引いた。

「あれに貼ッてある目録の名をご覧なさいませ」

「おお賭け試合の勝ちビラと見えて、いろいろな剣客の名が見えるが、どうせ衆愚を騙かす山師の客引き、あてになるものではござるまい」

「いいえ、試合のことを申すのではござりませぬ。右から四枚目の名を……」

と云いかけて千浪はにわかに口をつぐみ、あたりの人に油断のない眼を配った。そう云われて、重蔵も初めて四枚目の目録を見ると――投げ槍三本試合に於いて一本どりの名誉。一刀流大月玄蕃殿――という文字が紛れもなく下がっている。

「や」

思わず喉から出る声を押さえて、笠と笠のうちで頷きあった二人は、そのままグングンと人混みを掻き分けて、客呼びの男の前まで泳ぎ抜けて来た。

「これ若い者、少々ものを訊きたいが」

「エ、飛び入りですか」

「いやいや、賭け試合を望む者ではない。ちと訊ねたい儀があるによって、小屋主の小六殿に会わせてもらいたいのじゃ」

「ちぇッ」

客呼びの男は忌々しそうな舌うちを鳴らして、

「この忙がしい汐時に、悠々と会ってなんかいられるものか、夕方出直して見るがいいや」

「でもござろうが、折入って一言お訊ね申したいのじゃ、必ず長くはお邪魔申さぬつもり」