Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
滅多に他流試合の申し出を容れないこの道場が、珍しく今日はその剣客と一門の逸足とが試合せすることになった。のみならず、あまり異例なのに門人達がおどろいたのは忠雄自身も場合に依っては木剣を把るということ、また、今日の試合こそは、後学のため、何者も見て置くべきであると触れ出されたことだった。
「大先生ご自身が、それまでに敬っているお客とは、一体何流の何者でござろうか」
「奥の間にあって、先刻ご酒を召し上がっていた様子でござるが、名前は確と承っており申さぬ」
「不思議なこともあるもの、まず小野派開闢以来のことじゃ」
「何せよ道場へ出て試合となれば分るであろう」
さまざまな噂をしながら、その日この門に居合せた程の者は、一人残らず、大道場の東西に居流れて、治郎右衛門忠雄と客なる者の出席を待ち構えている。
春日新九郎も、遥か道場の末座にあって、熱心に瞳を輝かせていた。
試合に立つ高弟の人達の支度もすみ、木剣の用意その他の支度もすッかり整った頃、主人と同時に道場の正前へ現れて、一同に立派な会釈をした一人の剣客。それこそ疑問の客であった。
ふと瞳を向けた新九郎は、
「あッ――」