Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
と続いて揮り込んで来た前後左右の乱刀をも、しばらくバラバラと蜘蛛手に受け払っていたが、すッくと岩から立ち上がるが早いか、手当り次第に帯、襟頸を引ッ掴んで由良川の激流の中へ片ッ端から投げ込んだ。
奔流の泡に叫びを上げる者、岩角に血を吐く者、たちまち幾人と知れない負傷を出した。その凄まじい浪人の働きに、さしもの大衆もワッと後ろへ雪崩返った。
「ええッ腑甲斐のない者どもめ」
と玄蕃はその様子を見て歯ぎしりかんでいたが、疳を昂らせて浪人の前へ馬を乗りつけて来た。そして、
「素浪人――ッ」
霹靂の一声を鞍壺の上から浴びせかけた。浪人は炯々たる眼光を放って、
「汝が玄蕃か、その傲慢では今日の試合も覚束ない」
と声鋭く面罵した。玄蕃はそれに耳をも触れず、大刀の柄に手をかけて、
「推参だッ」
と叫ぶより早く、身を屈ませて馬上から拝み撃ちに、鬼丸包光の大刀が風を切って浪人を見舞ったが、慌てもせず摺り抜けた浪人は、玄蕃が二の太刀を振りかぶったにもかまわず、大胆に踏み込んで、ガッキリと馬の轡の根元を掴んで、エエーイッ、と一声鋭く轡を突き上げたので、馬は泡を噛んで嘶きながら、棒立ちになった。