Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
その理由を知らない金井一角は、初めから、手間暇とらずに真っ二つと自信しているが、一、二合火花を散らすうちに、案に相違した相手の太刀風。ともすると受身になる。
「己れ! こんな奴に!」
歯噛みをして、憤怒の形相もの凄く、秘術を尽くして対ったが、こはいかに、新九郎の五体は鉄壁のよう。しかも見ては烈電の如く斬り込んで来るのみか、刻をたつほどいよいよ冴えてくるばかりだ。
「こんな筈はない! こんな筈はない!」
一角は幾度も心のうちで絶叫したが、事実、息もつかせず捲くし立ってくる太刀風をどうしようもなかった。
もう後ろは廊下のどん詰り、前には息さえ乱れぬ新九郎の太刀。ここ、切羽詰まった金井一角は、隙を見て、いきなり屋根の上へ飛び出し、隣り境の塀から彼方側へ躍り越えてしまった。
「待てッ」
つづいて新九郎も、血刀を咥えて跳び降りた。隣も同じような割烹梅茶亭という家で、そこは、池泉、燈籠、築山などの数寄をこらした広い庭だった。
「卑怯な奴、金井一角待て!」
地へ足をつけるが早いか、新九郎は大刀を片手に振りかぶって、一角の影をグルグル追い廻した。庭は広いが、逃げ口に戸惑いした金井一角は、捨て身になって踏み止まった。