Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

くれよう」

「では飽くまで妾の家来を帰さぬと云いやるのじゃな」

「知れたことだわ!」

一喝に突ッ刎ねたのはまだいいが、例の杖がそれと共に、御方の玉の顔容へピュッと唸って行った。何かは堪ろう、蝶の羽翼の紛々と砕けたような、敢えない姿をその下に倒したかと見れば、意外、御方の眉はきっと上がった途端に、燕をそらす柳の手もと、ヒラリとかわして御方の手に重左の杖はしっかと握りとられてしまった。

新九郎はその刹那に、ゾッと寒くなるような驚異に衝たれて御方の手元をみつめた。菖蒲の寮に優雅た起居をしていて、風にも堪えぬほどなよやかに見える御方、その女に、どうしてこんな秘練の妙手があるのだろうか? ――しかも御方は、重左の杖を引かせもせずに押さえつけて、色さえ変らぬ面に、白芙蓉が湛えている露にも似た微笑みをいッぱいに見せている。

「ホホホホホホホ、これが山手組の武家奴を総元締めなさる深見重左のお腕前か、世間には稀には出て見るものじゃ、音に聞えた氷川下の老侠客、もう少し鋭い味のあるお方と思うたが、女子の持つ木綿針にも足らぬ刺しよう、王義明致流とやらはこんなものでございますかの」