Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
そして、何の縁故で覚明がここにいるのか、御方の怪訝い行状、あれやこれや、考えれば考えるほど不思議な疑念に包まれてしまった。敢えて事俄かにその謎を解く要もないのだが、新九郎の胸にも自分で気づかぬ嫉妬の焔が燃えていて、彼をその夜は寝かせなかった。
「よし、今度御方と顔を合せたら、必ずその本体をあばいてくれよう――」
心密かに待ち設けていると、ちょうどそれから四日目の夜であった。新九郎は夕方六、七合の酒を過ごして、ややいつもより赤い顔をしているところへ、御方の衣ずれが爽やかに鳴って、春のような笑い声を先に、
「新九郎様、やっと奉行所から報らせがあって、近いうちにこんがらとせいたかは放免すると申して参りましたぞえ」
と、いつもながら眩いような姿を見せて来た。新九郎はむッくり寝そべっていた体を起こして、
「御方――」
とその袖をとらえてきっと見上げた。今日こそ酒の勢いで、この女の化身の皮をひん剥かずにはおかぬという気組みが、眼の裡にありありと燃えていた。
「ちとお訊ね申したい儀がござる。お差しつかえなくば、今宵はここでゆるゆるとお話が願いたい」
「まあにわかに改まって何事でござりますかいの……。