Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
そしていつまでも新九郎の美貌の蜜を吸って、さびしい自分の生活をまぎらわしていたい慾望。
その為に、御方は前にも、随分手をくだいたが、近頃は、こんがらとせいたかが寮へ舞い込んで来たのを幸いに、屋敷の中へ遊侠の徒を出入りさせ、新九郎に伊達寛達な風をすすめて、天晴、彼をして一人前の遊侠に仕立ててしまった。
女、金、酒、そのどれ一つにも淋しからず、寮にあれば酒肉の快楽、伊達姿で歩けば衆目に見迎えられ、道場破り、果し合いに顔を売るほど、御曹子の親分親分と立てられる気持は悪くない。
今では、自身でそれを得意とするほど、新九郎の心も姿も境遇もグングン堕落して行った。ここ僅か半年ばかりで、彼はまったく変り果てた人間になった。
怖ろしいものは、青春の道に熟れている毒の木の実、一度その甘き毒に触れ、飽くなき歓楽の陶酔に溺れてしまった春日新九郎は、あれ程までに邁進して来た大願も、千浪が真心も、前世の夢の如く忘れんとしている。
それにしても、義理の助剣に、不自由な足を引摺る彼の兄重蔵と、薄倖な千浪とは、いつまで、この頼み甲斐ない人情の浮世小路に、侘しい尺八を吹き流さねばならぬのだろう。