Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「春さきだけに、浮気の雨というやつだろう。まだ笊組の奴等が通ったらしい様子もねえからゆっくり一息入れるとしよう」
答えるまでもなく呟いた声。
それは、こんがらにせいたかが、生不動の仕返しに、力と頼む御曹子の兄哥――即ち春日新九郎であった。
「おお、ところで、今のうちに……」
と新九郎は、思い出したように、一封の金を出してそれへ置く。
「久八の首を掻っ切ったら、お前たちは、また当分の間、江戸から足を抜いていた方が身の為だ、すぐ高飛びしてしまいねえ。これは拙者の餞別。路銀の足しに納めておいてくれ」
「冗戯言っちゃいけません」二人は意外な顔をして、
「生不動親分の無念ばらしさえすれば、奉行所へ曳かれようが、嬲り殺しになろうが、思い残りのねえ二人です。助太刀をして貰った兄哥を残して、何で、高飛びなんかが出来るものですか」
「馬鹿を申せ、命の取り代えも対手によりけり、久八なぞの安首に剰を取られてたまるものか。後の始末は、菖蒲の寮の御方に、どうにでもして貰うから、拙者のことは心配せずに、どこへでも立ち退きねえ、時節が来れば、またどこかで廻り会わねえものでもない」
「兄哥、このご恩は忘れません……」