Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
家士溜りの剣士の控え場は総立ちになって、何事か罵り出した。
矢来の外の群集も喧々囂々として、にわかに罵声不平が遠い海嘯のように巻き返した。何者とも知れずバラバラと京極方へ砂礫を飛ばす者があり、矢来を揺って罵り返す宮津城下の町人の叫びも凄まじく雑音の中に響いた。
「奇怪千万な京極家の致し方、余りと申せば卑劣な策じゃ」
と福知山方の正面の座に、じっと事の顛末を睨みつけていた藩主松平忠房は、それへ来た正木作左衛門にそう云った。
「いかにも御意にござります。某も余りの理不尽と存じ、唯今目付役人立ち会いの上、京極方へ懸合いに参りましたるところ、玄蕃儀持病さし起り試合大儀の様子ゆえ、引き止めさせたなれど、その代りに別の剣士を選び、改めて春日重蔵殿と立ち合いの上、最後の勝敗を決せんと虫のよき大言を吐きおりまするが、如何致したものでござりましょうか」
「うウむ、飽くまで穢き彼の振舞、蹂躙ってくれたけれど、重蔵も定めし疲れたであろう、と云って不承知を申せば、飽くまで今日の勝利は我にありと彼等が言い張るに相違ない」
「誠に是非もない儀、この上は改めて君より春日殿へ再び試合直しを仰せつけあるが宜しかろうと存じまする……」