Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
ただ正義を冠に武士道を楯に、八幡照覧あるところ、運を天に任せるより他ござりませぬ」
「ふウむ……」
忠房はちょっと小首を傾げる。
「これより私一人にて、京極の屋敷に推参なし、正邪の理を説き、玄蕃を尋常に渡すや否や、まことを尽して懸合いを試みまする」
「しかし、彼に理非曲直を聞き分ける襟度もなく、飽くまで玄蕃を匿い立て致す時には何とするな」
「元々この重蔵は、ご城下住の一浪人、表向き君のご家臣たる者ではござりませぬゆえ、よも後日の累をご当家へ及ぼすことはなかろうと存じられます。それこそ幸い、万一の場合には、その場を去らず斬って斬って斬り捲り、当の玄蕃に一太刀の怨みを加えて相果てまする覚悟、ただ心残りなは千浪殿の身の上、私亡き後は何卒よしなにご加護のほど願わしゅう存じます」
「さすがは健気な言い分――」
忠房は鞍壺をポンと叩いて、聞くだに胸が清々しいといった様子に見えたが、すぐ、
「しかし重蔵」
と、言葉を更えた。
「はッ」
「その意気は頼もしいが、この忠房は同意せぬぞ。なぜかと申せば、先には充分な用意もあろうし、そちは足さえままにならぬ体、彼等の乱刃に遭わば膾斬りにされることは余りに明白じゃ。