Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

「えッ、では妾の云う通りにしてくれますか」

「愚図愚図していると、今朝は御老中の使者と京極家の侍が、拙者の首を受け取りに来る筈だ。それに、また兄上や千浪の姿を見ると所詮生きちゃあいられない気になるからの……オオ、それはさて措き、どこから抜け出したものだろう」

「この奥庭を突き抜けると、あの崖下で竹の垣根囲いになっている所がありまする。妾もそこから忍んで来たことゆえ、出るには何の造作もないこと」

「だが、屋敷の者が起き出してはこと面倒、そう極まったらすこしも早く行くとしよう」

数寄屋の縁を降りた二人が、斜めに庭を突ッ切って急ぎだすと不意に後ろから、ばたばたとそれを追いかけて行った者がある。

五、六間やり過ごして、新九郎の後ろへ跳びかかるが早いか、いきなり柄音をさせて、

「新九郎! 覚悟」

とばかり抜き討ちに斬りつけた。

「やッ!」

ひらりと身を捻った新九郎は、目の前へさッと落ちた白刃を見るや否、相手の利手を小脇にグイと捻じ取ってふと気づいた。

「や! 貴方は兄上」

「オオ、重蔵じゃッ、新九郎……そちは、そちは……ええ何という浅ましい奴じゃ」

重蔵の声は抉るように新九郎の胸を衝って、手に持つ刀の柄がガタガタと鳴り響く。