Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
富田流三家の一格をゆるされ、天下に名人として目されたこの自斎が、若年の貴殿にやぶれたるはいかにも恥辱、心外千万、恩師富田五郎左衛門先生が世に在しまさば何とお詫びの致しようもないことでござる――しかし、それにも増して、貴殿に打ち込まれたことの嬉しさ! 嘘でかようなことが言えようか、新九郎殿、自斎は改めて、お詫びいたす」
「滅多なことを……」
新九郎は慌てて片膝をついた。
「既に貴殿を打ち込んで、立派に武士道が立った以上左様にまでご卑下されては痛々しい……」
「否、そうでない。桔梗河原で拙者が無用な武芸立ていたしたため、兄上重蔵殿の一生を葬ったのみか、噂に聞けばご自害なされたそうな……それを聞くにつけ、ある時は、故意に其許へ勝ちを譲って進ぜようかと思うたことも再々であったが、イヤ、それではかえって貴殿の不為と、今日まで三度の立ち合いごとに、いつも心を鬼にして、大妻籠でもあの始末、必ず悪く思って下さるまい」
「おお、ではそのお心意で、あの剣書も拙者のふところへお残し置き下されたのか」
「何かのご会得になろうかとも存じての……」
「ああ自斎先生!」
彼は思わず先生と呼んだ――