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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

ヒュッと風を切ったも目瞬きするより早かった――がそれより目に止まらなかったのは、切尖の下りた間髪に、くるりと巌の横へ抱きついた自斎の神速――同時に、ドボン! と河中へ水煙りが上がって、飛沫の水玉が自斎の全身へ滝のようにザッと降った。――見れば、自斎がいた跡に八、九寸深く切り込んだ大脇差が、巌へ喰いこんだまま主を失って残っていた。

「大胆な奴じゃ……」

と自斎は河へ眼をやった。投げ込まれた由良の伝吉は、浅瀬の岩に引ッかかって、仰向けに浮きつ沈みつして見えたが、どこかを岩で打ったらしく、まったく気絶している様子である。

「こやつ一人は最前から、町人に似気なく骨っ節の強い男じゃが、このまま抛って置けばいつか気がつくであろう……」

と自斎は独り頷いて、そこを立ち去った。

しかしこのために、彼は福知山へ行くことは思い止まった。この様子では城下の者は、より以上興奮をしているに違いない。そこへ春日重蔵の容態を見舞うのは、かえって彼に皮肉と苦痛を与えに行くようなものだと、深く反省したからであった。

そこで、路を代えた鐘巻自斎は、鬼ヶ城峠を越えて梅迫から綾部を廻り、京都路へさして行ったらしいが、後の消息はこの地方に絶えてしまった。