Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
見る間に駈け寄ってきたのは春日新九郎、青額に紫紐の切下げ髪は余り美貌過ぎて、不敵な郷士の度胆を奪うには足りないが、勇気は凜々として、昔の新九郎とは別人のように、
「やあそれなる浪人輩、白昼良民の娘を誘拐すとは不敵至極、渡さぬとあれば用捨はならぬぞ」
と大刀を閂に構えて、云い放った。
「黙れ青二才ッ、誘拐すとは何事だ、召使に致すため連れて行くのが何で悪い」
「要らざるところへ出しゃばると、その細首を叩き落すぞ」
と三人は歯を剥いて罵った。
「ではどうしても渡さぬと申すか」
「馬鹿めッ、くどいわ」
「欲しくば腕ずくで来い!」
「おお腕ずくで取る!」
と、新九郎は一足退いて、大刀を抜き放ったが、錬磨のない腕前の悲しさ、鯉口を切るか切らない先に、敵の一人が抜き撃ちに、
「真ッ二つだぞッ」
と叫んで躍りかかって来た。はッと新九郎の足は、我れ知らずもう一足飛び退いたところを、横合から大勢の百姓が、
「それッお武家様に加勢しろ」
とバタバタとふり込んだ竹槍が、盲ら当りに、一人の郷士の腰を払いつけた。
「己れ不埒な奴めッ」
と打たれた郷士は新九郎を捨てて、どっと百姓の群へ突き進んで、まえの一人を袈裟がけに斬り捨てた。