Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
「フィルムが逆にまわつてるようなもんね。結果がもうきまつていて、原因へはいつて行くんだから、気持の整理がお互にできないんだわ。わたしも、あなたも、井出さんの奥さまのことは信じてるんだけれど、あんまり話が簡単すぎて……。それまでにわたし、もつと自分で解決しなければならない問題がたくさんあるし……。あなたが、たとえ、どんなにわたしの力になろうつて言つてくだすつても、それをいゝことにして、当座の苦しみをごまかすなんてこと、どうしてもできんの。あなたには、第一、まだ、わたしつていう女が、ようわかつとらんでしよう?」
「そんなことは、わしにはどうでもいゝんだ。はじめ井出の奥さんから話があつた時は、ちよつと意外に思つたし、実をいうと、それどころじやないつていう気持もあつたさ。しかし、よう考えてみると、わしがあんたを好きになれんという理由もほかにないでなあ。げんに、こうしてると、わしはやつぱり、仕合せになるんじやないかと思うよ。わしはあんたのために、なんかしらできるつていう自信がついただ」
「わたしがまだ浜島のことを想つていても?」
「うん、わしが奥さんのことをあきらめられんのとおなじだもの。