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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

すこし立ち入つたことを聞かしてちようだい。あなたの方から、せんのいいなずけの方のこと、なんにもおつしやらないようにしてらつしやる?」

「もちろん、なんにも言やしませんわ。市ノ瀬の方から、言いだすくらいですわ」

「それでなにもかもわかるじやないの。お二人の気持を早く落ちつくところへ落ちつかせたいと思つて市ノ瀬さんは苦労してらつしやるだけよ。お二人の過去の生活が、別々の歴史になつていてはいけないと思つてらつしやるのよ。そういうところは、女よりも男の方が潔癖だと思うわ。市ノ瀬さんは、それといつしよに、二十年さきのことを、今からはつきりさせておおきになりたいんだわ」

「そのことは、はじめに、条件をつけましたの。二十年、あるいはそれ以内に、あの人が帰つて来たら、わたしを自由にしてくれる約束なんですの」

康子は、そこで、あきれたというふうをし、やがて、北原ミユキをにらむかつこうで、

「へえ、それ、市ノ瀬さん、承知なすつたの?」

「えゝ。そんなこと平気なんでしよう。でも、こうは言いましたわ――その時になつたら、もう君にはその自由の必要はなくなるだろう、つて……。わしには自信がある、ですつて……」