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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

「では、お嬢ちやんとお二人きりで? 戦争はどこまでいろんなものをぶちこわすんでしようね……」

「すべては、無条件降伏ということにあるのです。家内のおやじはご承知の退役軍人ですが、私に腹を切れといゝます。私はそんなまねはせんという。そこで、絶交ということになつたんですが、そこへいくと、女房なんていうもんは頼りないですなあ。おやじにガンと言われると、もうその気になつて、逃げだして来ようとせんです」

中園のそれを言う調子は、まだ青年将校の子供臭さがむきだしになつていた。が、それだけに、なにか痛々しい心のきずが康子の感情のひふに感ぜられた。

すると、われながら制しきれぬ勢いで、悔恨に似た気もちが頭をもちあげて来る。自分と夫との関係についてである。夫をみす/\殺そうとしているのはだれだ、という、どこからともなく聞こえる声に、彼女は耳をすます。

「中園さん、あたくし、あなたに聞いていたゞきたいことがあるの。主人からは絶対に口止めをされてるんだけれど、今のお話うかゞつてるうちに、どうしても、あなたのお耳にだけ入れておかなくつちや、と思うようになつたの。実はね、主人は、近いうち、自決するつもりでいるんですの……あたくしをひとりいなかへ帰して……」