Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
が、そこには、言葉とは反対に深いさびしさを読んで、胸がぐつとつまつた。
「きつとご無事でいらつしやるんじやないかしら? 早くたずねておあげになるとよろしいわ。そう、そう、お寒いんでしたわね。ながくお引止めしてしまつて……。あたくし、でも、どうしようかしら?」
ついそう口に出てしまう途方にくれた気持を、彼女は、いまさら相手にかくすことはできなかつた。
「遠くからこられたんでしよう? たいへんですねえ」
と、男はしみ/″\と言つてくれる。
「えゝ、信州からですの。なんでもこの次ぎの船が一週間後になるんですつて……。やつぱり行つてみようと思いますの。それにしても、また出なおすのはやつかいだし……」
「あゝ、この次ぎ宇品へはいる船ですね。たしか本部の連中を乗せてくるはずだから、きつとくわしいことがわかるでしよう」
ぽつりと、そこで話が切れた。男は腕時計を見るかつこうをしたが、途中で時計のないのに気がついたように、
「もうなん時ごろでしよう?」
「七時……十五分……」
と、彼女は、自分の腕時計をみて言つた。
「じや、わしは、とにかく今夜の大阪行臨時列車へ乗ることにしますから……。