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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
二月十三日
結構です。岩本という人の妹をぜひ貰ってくれと云われたが、それは困るとことわった由。そのひとが達ちゃんのお嫁さんになってはこまる、という同じ意味でことわったそうです。きっと決定すれば富ちゃんから手紙さし上げることでしょうが。野原の小母さまの顔が見えます。きょう私へ羽織の裏のいいのを送って下さいました。
どうかお大切に。小包つきました。袷お送り下さい、どうぞ。
二月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
二月十三日の夜 第十四信
十日づけのお手紙どうも、どうもありがとう。これがどんなにしてきょうのおくりものになったかお話しいたしましょう、いろいろと重って吉日だったから。
きのうは朝先ずそちらへゆき、フリージアとスウィートピーの花をたのみました。スウィートピイなんて子供めいているようですが、でもあの花々の柔かい色合いはやはりやさしいものを語って居りますから。フリージアもいい匂いです、ユリの花とは少しちがうけれども。たっぷりそれらの花をあげたいと思ってそのようにして、玉子が抽象的になってしまったからミカンなどを。
それから新宿へ行って、ちょっとおかずを買って、多賀ちゃんと落合って、十一時の小田急で鵠沼へゆきました。