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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

今こそ、穴の中の光景が、見えるところへ来たのである。

さあ、先生は、穴の中に一体何を見たであろうか。

(ああ――)

先生は、石像のように、固くなった。大きなおどろきが、先生をそうしてしまったのである。

見よ! 穴の中には檻が見えた。

その檻の中には、何やら暗いなかにうごめくものがあった。

ぽうっとうす桃色に光っているが、先生が、その怪しいうごめく物の形を、はっきり見きわめるには、かなり手間がとれた。

(ああ、不思議な動物だ! 見たこともない怪しい動物だ! 一体、あれは何であろうか!)

「見たか、千二君」

と、新田先生は、千二を後から抱きながら、おどろきを伝えた。

千二は、無言で、うなずくばかりであった。

うすぼんやりした光を放っているその怪物は、何だか大蛸のようなところがあった。頭がすこぶる大きくて、目玉がとび出しているところは、蛸そっくりであった。

だが、蛸とは似ていないところもあった。それは、その大きな頭の上から、二、三本の角みたいなものが出て、それがしきりに動いていることだった。いや、角というよりも、蝶や甲虫などの昆虫類が頭部に持っている触角に似ていて、しきりにそれが動くのであった。