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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

1 奇怪な噂

1 奇怪な噂

もはや「火星兵団」の噂をお聞きになったであろうか!

ふむ、けさ地下鉄電車の中で、乗客が話をしているのを、横からちょっと小耳にはさんだとおっしゃるのか。

――いや全く、こいつは冗談じゃないですぞ。これはなにも、わしたち科学者が、おもしろ半分におどかしたがって言うのではないのですわい。今われわれ地球人類は、本気になって、そうして大いそぎで戦闘準備をしなくちゃならんのだ。しかるに、わしのいうことを小ばかにして、だれも信じようとはしない。これでは、やがてたいへんなことになる。わしは今から予言をする! 地球人類は、一人残らず死んでしまうだろう。第一「火星兵団」という名前を考えても、その恐るべき相手が、どういうことをしでかすつもりだか、たいがい想像がつくはずじゃと思うが――。

と、そういう話を、地下鉄電車の中で聞いたと、おっしゃるのか。

ふむ、なるほど。

そのことばづかいから察すると、そう言って自分一人で赤くなって興奮していた人というのは、からだの小柄の、頭の髪の毛も、顎のさきにのばした学者鬚も、みんな真白な老紳士だったであろう。

それに、ちがいないと言われるか。