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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

22 怪動物

千二少年は、あまりいい気持ではなかった。

先に立って、懐中電灯を光らせていた新田先生が、この時、ふと足をとめた。

(おや先生が、立止った!)

と、千二は、すぐ、それに気がついた。

その時、先生の手が、千二の肩を、静かにおさえた。

(動いてはいけない。静かに!)

と、先生の手は、言っているようだった。

千二は、もちろん、動かなかった。そうして、これは何事かがあるのだと思ったので、耳をすまして、先生の合図をまった。

「おい、千二君。君には、聞えないかね」

新田先生が、千二の耳もとに口をつけて言った。この井戸の中のような階段にはいって後、始めてのことばである。

「えっ、聞えないか――とは、一体何が?」

千二は、自分の耳に、全身の注意を集めた。

「ああ、――」

千二は、その時、思わず、低く叫んだのであった。

何か、聞えるようだ。

気のせいかと思うが、そうではない。何だか、口笛を吹いているような音が、地底から、聞えて来るのだった。

「先生、僕にも聞えます。口笛を吹いているような音でしょう」

「そうだ」

先生のあつい息が、千二の耳たぶにかかった。

「おい千二君。あの音は、一体、何の音だろうね」