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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
8 先生と教え子
どうか、放してやっていただきたいものです」
新田先生は、そう言って、頭を下げた。
「さあ、そのことですよ、新田先生」
と、課長は、にわかに別人のように、きつい顔になって、
「私も、千二君が、そのような悪人でないことは、大体認めている。しかし、どうも今困ったことがある!」
8 先生と教え子
新田先生が大江山課長から聞いたところによると、怪人丸木の行方は、さらに、わからないそうである。
「これは困ったことです。我々は捜査陣を広げて、銀座怪盗(と課長はそう呼んだ)を探しているのですが、どうもわからない。彼をとらえないうちは、気の毒ながら千二少年を、ゆるすわけにはいかんのです」
新田先生も、それを聞いて、なるほどと思った。そこで、仕方なく、千二をぜひ、今自由の体にしてくれと、頼むことは、一時見合わせることにして、その代り、千二に一目あわせてくれるように頼んだ。
大江山課長は、まだ誰にも面会をゆるしていないが、特に新田先生には、それをゆるすことになった。
じめじめとしたうすぐらい留置場で、先生と教え子とは、手に手をとりあって泣いた。あまりの情なさとなつかしさに、どちらも言葉は出ず、涙の方がさきに立ったのである。