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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

68 いばる丸木

「気味のわるいところだなあ」

と、千二が、なおもかんしんして、その林の中をのぞいていると、その時、へんなものが目にはいった。

林のおくの方から、むぎわら帽子が、ゆらゆらと宙をとんで、こっちへ来るのであった。

「あ、博士。へんなものが林の中にいます」

と、千二は思わず声を立てた。

「へんなものって、どれかね。どれだ」

千二は、宙をとんで来る、むぎわら帽子をゆびさした。

「ああ、これか。これは丸木じゃないか。丸木がとうとうやって来たぞ」

「どうして、このむぎわら帽子が丸木なんですか」

「だって、帽子の下をごらん。目が光っているじゃないか。丸木のからだが、みどり色だから、みどりの林の中では、帽子だけしか見えないんだよ」

「ああ、そうか」

博士に言われて、千二は林の中を、もう一度よく見直した。とたんに千二は、あっとおどろきの声をあげた。林の中には何があったのであろうか。

蟻田博士と新田先生と、そうして千二少年とが、いかめしい服を着て立っている前に、とつぜん、ぬっと顔を出したむぎわら帽の火星人は、これこそ丸木であったのである。

「おい、丸木。きさまよく逃げおったな」

博士は叱りつけるように言った。