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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
50 連合脱出隊
全く怪しくも不思議な光景であった。地球の人々は、モロー彗星の光が強くなればなるほど、興奮の度をたかめた。
半分おかしくなっている者や、道ばたで一日中泣きどおしの者が、だんだんふえて来た。そうかと思うと、盛にステッキや剣を空に向けてうちふり、
「モロー彗星なんか何者じゃ」
と、見えすいた強がりを言っている者もあった。
その一方において、科学者や技術者たちは、その大半が工場につめて、わきめもふらずに、地球脱出用のロケットを製造することに、一生けんめいであった。彼らは、時にモロー彗星のことを忘れているかのように、製造に熱中した。
ドイツでは、いつの間に揃えたか、ロケット兵団をつくった。それは、百台の大ロケットで編成せられていた。このロケット兵団は、アルプス山脈地帯にかたまっている火星兵団を尻目に、空中高く飛出し、示威飛行を始めた。
ところが、その挑戦に応じて、アルプスの方角からは火星兵団の宇宙艇五台が飛出した。そこでロケット百台と宇宙艇五台の大空中戦が始ったが、気の毒にも、ロケットは見る見るうちに空中でとろりとろりと溶けだした。やがて四十台ほどのロケットは空中で溶けて散って、あとかたもなくなり残りの六十台のロケットは基地へ引きかえした。