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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

36 脱出

「ほう、これはえらいことになったぞ。とうとうこのボートは、宇宙へ飛出したらしい」

この時、佐々刑事の声は、もうあたりまえにもどっていた。別にうろたえている様子も、恐れおののいている様子も見えなかった。

「さあ、これは珍しい旅行をすることになったぞ。このボートは、どこまで行くつもりかしらないが、何しろ、火星のボートに乗って、宇宙旅行をしたのは、わしが始めてだろう。これでまた話の種がふえたぞ」

と佐々刑事は、おもいの外、落着きはらっていた。

火星のボートに、とりこになってしまったような佐々刑事であった。宇宙へ飛出したのはいいが、これから果して彼はどんな目にあうことやら……。

36 脱出

話は変って、こっちは新田先生であった。

先生は、今はうたがいもなく火星兵団の一隊長であるところの、怪人丸木の恐るべき人間狩の話を聞き、今はもう、ぐずぐずしていることは出来ないと思ったので、先生はくらがりを幸いに、洞穴をうしろにして、山を下りにかかった。

先生は、肩に大変貴重な品物をぶらさげていた。それはほかでもない、あの変話機だった。それを使えば、火星人の話が、人間の言葉に変って、耳に聞えるという不思議な機械だった。