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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

4 わからない話

「そうだ」

と、課長はうなずき、

「それから博士の失踪のことは、当分世間へは秘密にしておくのだ」

4 わからない話

蟻田老博士の行方不明になった事件は、新聞にも出なかったし、ラジオのニュースでも放送されなかった。

そのわけは、主として大江山捜査課長のふかい考えで、世間には知らせない方がいいということになったのである。報道禁止命令が、新聞社へも放送局へも発せられた。そうして、課長の部下は、老博士の行方をつきとめるために、四方八方に散って、大活動を始めた。

だが、老博士の行方は、いつまでも、なかなかわからなかった。

そのうちに、二十日ほどの日数が過ぎてしまった。ちょうどそのころ、読者もまだよくおぼえておられることと思うが、あの天狗岩事件が起ったのである。

天狗岩事件といえば、友永千二少年が、夜釣にいく途中、はからずも天狗岩の上に、怪しい物体が飛んで来たのを見つけ、それから彼は勇敢にも、天狗岩へ上ったところ、怪しい者に組みつかれ、もみあううちに、両方もろとも、天狗岩をすべって、どぼんと湖の中に落ちてしまった事件のことだった。

だから、その当時、蟻田老博士は行方不明のままだし、そこへ持って来て千葉県下の出来事ながら、奇怪な天狗岩事件が持上ったわけである。