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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

42 人間ぎらい

と、新田先生は三度感心の声を放った。

「さあ、あなた、感心ばかりしていないで、私たちを早く助けて下さいよ、ねえ」

と、檻の中の火星人が、先生にさいそくをした。

「おお、そうだ。こうなる上は、善良な君たちを、ぜひ助けてあげたいが、一体蟻田博士は……」

と言っている時、後で咳ばらいが聞えた。

42 人間ぎらい

「何だ、新田じゃないか。お前はけしからん奴だ」

と、しわがれた声が、先生の背中の、すぐ後でした。

「あっ、蟻田博士!」

いつの間に、ここへはいって来たのか、蟻田博士が、先生の後に、ぬっと立っていた。

「博士、どうしてここへ?」

「どうしてここへ? ふん、あたり前だ。ここは、わしの研究所なんだからな。他人のさしずを受けるものか」

と、博士は相変らず、気みじかで、ずけずけした口をきく。

その時、新田先生は、久方ぶりに見る博士の姿が、この前見た時とは違い、大へんやつれているのをいたましく思った。すなわち、腰はまがり、顔はさらにやせ、真白の頭髪はぼうぼうとのび、あのかっこうよくかりこんであったあごひげも、のびほうだいにのびて、すり切れた竹箒のようになっていた。

(どうしたのだろうか。