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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
14 恐しい日
このさわぎに、駆けつけた近所の人たちも、その煙の行方をあおぎながら、
「ああ、あんなに高くなった。蟻田博士の天文台の屋根よりも、もっと高くなった」
と言って指をさした。なるほど、その崖の上に、あの奇妙な形をした、蟻田博士の天文研究所のまるい屋根が霞んでいた。
14 恐しい日
窓の外に、そのような椿事がひきおこされているとはつゆ知らず、天文研究所では、蟻田博士と新田先生とが、しきりにむずかしい勉強をやっていた。
「おい、新田」
と、博士が、めずらしくやさしい声で、新田先生を呼んだ。
「はい、ただ今」
新田先生は、そう言って、自分の席を立上ると、博士の机の前へいった。
博士の大きな机の上は、本とノートとで一ぱいだ。まるで、本の好きなどろぼうがはいって散らかしたように、机の上には、ページをひらいた本の上に、また他の本がひらいて置かれ、そのまた上に、ノートがひらいてあるという風で、ほんとうの机よりも十センチぐらいは高くなっている。だから博士は廻転椅子をぐるぐるまわして、だんだん椅子を高くして、坐っている。
新田先生が、机の上をのぞこうとしたというので、博士は、またどなりちらした。