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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

蟻田博士は、どういうものか、前からこの地球の崩壊ということについて、あまり気にかけていないが、新田先生はそうはいかなかった。先生は千二をうながすと、地球のよく見える下の部屋の窓のところへいった。

「おお、見える。あれが、地球だ。もうお月さまよりも小さくなった。ああ、こっちに、斜に金の箒をたおしたように見えるのが、にくいモロー彗星だ」

千二も、まっくらな空に、気味わるくにらみあっている二つの星をながめて、ぞうっとした。

「あと、二十四時間で、ふたたび、あの美しい地球が見られなくなるのか」

窓のところに、千二少年の手をひいて立つ新田先生は、そぞろに悲しかった。今まで忘れたり、がまんをしていたのが、ここで、急に先生の胸の中に、悲しいものをなげちらしたのだ。

千二も、さっきから、さびしい思いにとざされていた。

しかし、ここで新田先生のひどく悲しんでいる様子を見ると、少年は、この上自分が悲しがってはならないと思った。そうして、出来るなら先生をなぐさめてさしあげたい。もっと元気にしてあげたいと思ったのである。

「ねえ、先生。地球のことは、もう、僕たちの力でどうにもならないんですから、あきらめましょうよ。