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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「なあんだ、二人ともめそめそして……」

博士は叱りつけるように言った。

博士に叱られて、新田先生と千二とは、涙をふいた。

「なあんだ、お前たちのその顔は……」

「博士、あなたは、地球に家族もなければ、なんの心のこりもないのでしょう。だから、地球の最期が来ても、涙一滴出さずにいられるのです。私や千二君などは……」

「おい新田、待て。そういうとわしは、なんだか鬼みたいな人間に聞えるではないか。わしにも家族はある」

「え、博士に家族がおありですか。それは失礼ですが、ほんとうですか」

「全く失礼なことをいう奴じゃ。家族のない人間は、未完成というか、感心出来ないよ。わしには家族があって、ちゃんと地球の上に住んでいる」

「そうでしたか。しかし博士は、その家族の方のために、一滴の涙もこぼされないのは、どういうわけですか」

先生は、不思議そうにたずねた。

「ここで、いくらたくさんの涙をこぼしてみても、どうにもならないではないか。ええ、そうだろう」

「しかし……」

「まあ、お聞き。わしに言わせれば、人間が悲しんだり、それからまた体を楽にしたりすることは、死んでからあとのことにすればいいのだ」