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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
三月二十四日
眠くてしかたなくなったからまだ九時半だけれど御免なさい、ね。
三月二十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
三月二十四日 第二十三信
きょうは日曜日。可笑しい可笑しいことおきかせしましょうか。ゆうべは私眠たくて、九時半ごろ二階に上ってしまいました。いろいろあなたのおっしゃった詩の話や小さい泉子の話思いかえしながらすぐ眠ってしまいました。夜中に一寸目をさまし。そのまま又眠ってけさ、時計がうつ音で目がさめたの。おや何時かしら、一つと数え、二つ三つとかぞえ、九時ごろになったのかしらといい加減びっくりしていると、八つ打ってもまだやまず、九つうってもまだやまず、どう? 十一打ってやっとやみました。ホーホーと笑い出してしまった。十時から十一時迄は十四時間よ。びっくりしてドタドタおりて行ったら多賀ちゃんが、ホーと云って笑い出しました。どういうことになったのかと思ったのですって。私のいびきは下へもきこえるのですって。それがけさは、クーともスーとも云わないで、下りて来ないし、どうしたのかと思ったって。いびきは体か頭のつかれのひどいときかくのね。十時間も眠ってあとの四時間ぶんいびきかく必要がなかったのでしょう。