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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
五月二十八日
五月二十日 第三十四信?
さっきかえって、マアともかく一休みと横になっていたら電報。やっぱり小説の〆切は二十三日でよろしいとのことです。フーッと大息をついて、やっと眼つきが平常になりました。どうも新聞やさん少々かけひきをしてともかく插画だけものにしてしまったのではないかしら。それにしろありがたいわけです。おっしゃるとおり明日夜まで三十枚は神業で、しかも到って人間並のが敢て試みようというのですから、つなわたりのようなわけでした。今月はすこしずつ仕事おくれました、胸がドキつくから。そんなこんなで。あなたまでいそがしがらせて御免なさい。でもたまにはいいでしょう、〆切なんて。あなたのお身にもついているものですから。
きょうはすこしはれぼったそうでした、どうかよくお休み下さい。疲れて眠れないという晩に、あなたがあがったチョコレートのことなど思い出します。覚えていらっしゃること? 白い紙につつんで、ボンボンの粒々。そういう夜には、きまって私は居ないのね。
きょうは、丁度中途半端な時間にそちらに行ったのですが、うちにいて、誰かに押しよせられたら目も当てられないので、とにかく出かけ、そちらで手帖出していろいろとこねて居りました。